あんな色、こんないろ その8
画家の名前からつけられた固有色名が少ないように、文芸作品の主人公やヒロインの名が色名として残っている例もあまりありません。
「ハムレット」のヒロイン「オフェリア」が明るい赤紫色だったり、「ウィルヘルム・マイスターの徒弟時代」の「ミニヨソ」が、ナリーヴ色になっていたりする程度で、セラドソは、色名としてはシェークスピアやゲーテの永遠のヒロインよりもはるかに有名なのです。
プラトニックでセソチメソタルなロマソスというものが、一般にわかりにくい時代になったわけですが、色の呼び方にその名をとどめるような不減のヒロインも、これからはますます現われにくくなるにちがいありません。